Design Nature
Design for Nature
Design with Nature
ACTANT FORESTは、自然と都市のあいだに心地よい循環をつくるためのデザインリサーチラボです。南アルプスのふもとにある13,000㎡の森を拠点に、東京やオランダの都市生活で培われたデザインの知見と、森で得られる野性の知恵を活かして、さまざまなデザインリサーチに取り組んでいます。
私たちの活動コンセプトは「Design with Nature」です。自然という多様なアクターをデザインパートナーとして迎えいれ、今後、地球や社会に影響を及ぼすと予想される大きな変化に対する、オルタナティブなしくみをデザインする試みです。複雑になっていくばかりの社会や環境の変化に対して、もっとしなやかなライフスタイルやまちのあり方を探るために、微生物や植物、昆虫や動物といった多様な生物たちと共創しています。
当然のことながら、人間は自然を支配する特別な存在ではありません。ACTANT FORESTが目指すのは、人間のために「自然を」デザイン(コントロール)することではなく、「自然のために」デザイン(課題解決)することでもありません。自然のあり方も、私たちの感性もともに刷新されていくような「自然とともに」考えるプロセスを重視しています。
現代の社会は、テクノロジーを駆使して自然環境をコントロールすることで、人々の生活を安全で快適なものにしてきました。その近代的な生活様式は、近年いたるところで綻びつつあり、複雑になるばかりでどう解決していいかわからないコンフリクトや、予測のできない環境リスクを生み出し続けています。それらは、隅々までデザインされて快適になったはずの都市生活に、再び不安や息苦しさをもたらしています。
一方で、周りの自然環境を見わたせば、かつては豊かだったはずの里山や竹林の荒廃が目立つようになりました。都市近郊の山林に限らず、海や川も含めた日本中の自然環境が以前にもまして不安定になりつつあります。先史時代から長らく続いてきた人と自然の共生のエコシステムがうまく機能せず、都市も自然環境もお互いの持つ資源を活かしあうことができないまま、緩やかに疲弊しています。
今、私たちが必要としているのは、自然環境と都市生活がともに安心してつながることのできる、もっとしなやかなデザインのあり方ではないでしょうか。人間の都合ではコントロールしがたいモノやコト、思いもよらない変化や不完全さと折り合いをつけて、ともにうまくやっていく術ではないでしょうか。
自然は私たちが想像するより、ずっとかしこく、たくましいはずです。「Design with Nature」という発想をもって、自然環境とのつながり方を再構築することは、人間が疲弊させてしまった自然に再びよい循環を取り戻すとともに、私たちの社会をしなやかで持続可能なものにすることにもつながるでしょう。
アスファルトの上を歩き、ビルの中で働いているとつい忘れてしまいますが、本来私たちは動物であり、自然のネットワークの中に織り込まれた存在です。自然との絡み合いの中で、自分たちの生活を見直すことは、毎日のエクササイズやスキンケアと同じように、私たち自身の身体や感性を見直すことと同じなのです。
「Design with Nature」というコンセプトを通じて、都市的なものと野性的なものをひとつの円環に配置しながら、今よりもしなやかなライフスタイルやビジネスの選択肢を都市生活の中に増やすこと。そのためにモノや情報だけでなく、経験や知恵もデザインに織り込んでいくこと。それがACTANT FORESTのパーパスです。